昨日から急に携帯電話の充電ができなくなり、今朝ついにバッテリーが尽きて起動できなくなってしまった。
ノマド生活を始めるのに備えて2年半前に購入したサムソンのGSMトライバンド携帯である。
今までの経験から言うと、携帯というのは大抵2年を過ぎたあたりからバッテリーが劣化してきて、段々充電の頻度が多くなってくる。しまいには携帯の用を成さないほどになり、新しいバッテリーを買うより新しい携帯端末を買った方が安いので、機種変更する、というのが今までのパターンだった。
それで今回もつい、新しい携帯を買わなければいけないと思い込んでしまった。
どうせならスマートフォンにしようかとか、近々シンガポールに行くのでそちらで買った方がいいだろうかとか、いろいろ考えたが、こうやって携帯がダウンしてみると、そんな悠長なことを言っていられないくらい当面の生活にものすごく支障を来す。数日後に迫ったシンガポール行きのためのドライバーさんとの連絡とか、約束している友だちとの連絡とか、ロジスティクス上の問題が多々発生する。そして社交上の問題もいろいろ発生しそうである。そこでとりあえず街の携帯ショップを物色してみることにした。
歌舞で有名なプリアタン村の大通りには携帯ショップが軒を連ねている。まず正規代理店ぽいノキアのショップに行って聞いてみると、いちばん安いので25万ルピア(約2500円)。トライバンドになると70万ルピア(約7000円)は下らないと言う。
そこでふと思った。私のサムソン携帯はシンプルだが、トライバンドで、カラーで、音が良くて、優れものである。よくよく考えてみたら、問題はバッテリーであって、本体に問題はないのではなかろうか。まずバッテリーを探してみよう。そもそも物はできるだけ長く大事に使いたい。しかも携帯には希少金属が使われているという話を前に聞いたことがある。
そこで方針変更をし、今度はバッテリーを置いていそうな店に行ってみた。親切な店員のお兄さんにたずねると、バッテリーを見るや、「これは問題なさそうですよ」と言う。電極のようなものを刺して調べてくれたところ、バッテリーは生きているが、充電器の方がだめらしいということがわかった。充電器の値段は6万ルピア(約600円)ほどだと言う。なんだ、それなら携帯を買い換えるより全然安い!残念ながらその店には同じ型の充電器のストックがなく、注文すれば3日くらいで届くと思うが、とりあえず他の店で聞いてみたらどうかと言われた。
次の店をあたってみたところ、やはりなく、隣の店に聞いてみるよう言われた。隣の店で聞いてみたところ、またその隣の店に聞いてみるよう言われた。こうして4軒目まで来た。ここでも親切な店員のお兄さんが微妙に違う充電器を次々と試してみてくれるが、携帯は一向に反応しない。まるでシンデレラのガラスの靴みたいである。バリではサムソンはあまり流通していないのでやっぱり同じ型の充電器を見つけるのは難しいんだろうか、それとも本体の方がだめなんだろうか、と半ば諦めかけてきた頃、ふいに携帯が反応して充電を始めた。そのときのうれしさと言ったら!まるで心臓マッサージで止まった心臓が動き出し、大切な人が息を吹き返したみたいである。その充電器を5万ルピア(約500円)で購入し、トラブルは一気に解決したのであった。
携帯が蘇生したことと同じくらい感動したのは、携帯ショップのお兄さんたちの職人気質な対応であった。いくつもの充電器を箱から出しては試し、試してはしまい、ようやく携帯が反応したときの得意そうなお兄さんの顔を忘れることができない。バリ人、やるじゃん!
今私の携帯は死の淵をさまよって生還したとは思えないくらい、元気に復活している。