2年前ジョグジャカルタのインドネシア語学校で知り合ったオランダ人写真家のRさんに再会するため、バリ島東部のチャンディ・ダサまで一泊二日の旅をした。
Rさんは4分の1ジャワ人の血を引いている。インドネシアは300年にわたってオランダの植民地だったので、オランダにはインドネシアとつながりを持つ人が多い。Rさんの場合、お母さん方のお祖母さんがジャワ人である。Rさんのお姉さんが生まれるまで一家はジャワで暮らしていたが、インドネシアにおける日本の勢力が強まるにつれ、身の危険が大きくなり、追い立てられるようにオランダに出国した。だからRさんはオランダで生まれた。けれどもRさんは自分のルーツを求めて、年に一度ジャワにやってきては、写真を撮るというプロジェクトをライフワークにしている。今年初めに半分ジャワ人の血を引くお母さんが亡くなり、今年はその遺灰を埋めるためにお父さんと一緒にジャワにやってきた。一足先にお父さんがオランダに帰った後、Rさんはジャワで自分のプロジェクトを続行した。そして最後の一週間だけバリのチャンディ・ダサで過ごすというので、会いに行ってきたのである。
清浄な空気が流れるアシュラムの敷地
海辺のバンガロー
Rさんが泊まっている海辺のアシュラムを訪ねた。15人の子どもたちがそこで寝起きしながら学校に通ったり働いたりしていて、敷地内には宿泊施設や幼稚園もある。宿泊施設はアシュラムの資金を稼ぐためのもののようで、宿泊客は特にアシュラムの活動に参加するわけではない。ただ朝昼夜と手作りの食事が提供され、宿泊客全員でいただくのが普通の宿泊施設とは違うところだ。海辺に立つバンガローのひとつに私も泊まることになった。
私の部屋
荷物を下ろして、宿泊客のフランス人女性のMさんと3人でお茶を飲みながらおしゃべりする。ウブドとは異質な時間が流れていく。夕方、目の前の浜でRさんと貝拾いをした。貝を拾い集めているとすっかり童心に返る。貝の独創的な形や色を眺めていると、自然の驚異にただ感心してしまう。この宇宙とはかくも完璧なものなのだと思わずにはいられない。必要なものはすべて揃っている。造形の遊びさえ。
夕方の光の色が大好きな写真家Joel Meyerowitzが撮した
Cape Codの写真を思わせた
夕食の時間が来て、他の宿泊客とも顔を合わせた。Rさん、Mさん以外に、オランダ人の女性、ニュージーランド人の男性との5人の食事となった。みなさんいい人たちで、話がはずむ。
宿泊客みんなで食事をいただく
夕食が済んで部屋に戻る道すがら空を見上げると、きれいな三日月とたくさんの星が出ている。夜は波の音を聴きながら熟睡…と言いたいところだが、打ち寄せる波の音というよりコンクリートにぶつかる波の轟音と振動で、あまりよく眠れなかった。
翌朝は宿の男の子の案内でRさんと近くの丘に登った。頂上からは椰子の木の森と海が見渡せて気持ちがいい。
丘の上から海を望む
椰子の木の森
宿に戻って朝食を済ませ、RさんとMさんと3人で、バイクで20分ほどの白砂の浜に出かけた。透明な水に体を浸すのが気持ちいい。
宿の昼食に間に合うように戻り、また皆さんと一緒にシンプルでとてもおいしいご飯をいただいた。泳いだのとお腹がいっぱいになったのとで眠くなり、少しだけ昼寝をしてから、帰り支度をした。Rさん初め皆さんに別れを告げて、ウブドへの帰路についた。
海への扉
頭の中にサティの「彼の眼鏡」という曲が流れた