2010年8月29日日曜日

マエストロ踊る

3世代にわたるレゴンの踊り手たち

フローレス島からどうしてもこの日に帰ってこなければならなかったのは、この公演を観るためであった。プリアタン村の由緒ある歌舞団の往年のスターが踊るという特別なイベントである。


フローレスに発つ直前に、楽士として参加することになっていたガムランの先生にこの特別公演のことを聞いた。以前も似たようなイベントがあったが、チケットが高くてあきらめた。今回もそうだろうとあきらめるつもりでいたのだが、リハーサルを観に行ったらどうしても本番が観たくなってしまった。チケットの入手方法を調べてみたら、チケットは一般販売されず、招待券のみとのこと。日本の旅行代理店が主催するツアーに参加すればこの招待券が含まれるが、とても手の出る値段ではない。先生に相談したところ、なんと少々の寄付をするという条件で招待券を用意してくださった。そういうわけで是が非でもこの日に帰ってこなければならなかったのである。


イベントは2日にわたって行われ、初日は、今は70代、80代となったかつてのスター5人がそれぞれの演目を踊り、それを2世代にわたる弟子が引き継ぐ、という趣向。2日目は若い世代の踊り手たちがレビュー形式で新しい振り付けの踊りを踊るという趣向だった。


目玉は何と言っても初日。特にレゴンは圧巻だった。10代のときにこの歌舞団の海外公演に参加して一躍プリマドンナとなった今は70代の踊り手のチョンドンで幕を開ける。70代とは思えない身軽さである。それをまず第2世代、それから第3世代のチョンドンとランケサリ姫・ラッサム王が引き継ぐ。第2世代、第3世代ともにチョンドンが見事で心を奪われた。特にまだ11歳の第3世代のガルーダ(チョンドン役の踊り手が演じる)とラッサム王の争いは緊迫し、観客から異例の拍手喝采が飛んだ。


手元の資料に掲載されているイ・グスティ・アユ・ラカ・ラスミ13歳のときの

アメリカ公演の写真


今回の公演パンフレットの表紙を飾る同氏71歳の姿


また今は80を過ぎた男性の踊り手のクビャールも、気品が漂い、とても80を過ぎた人の身のこなしとは思えない。人間は生き様が体に出るのだなあと改めて実感した。


生きた歴史を目の当たりにすることができて、感激と興奮の2日間であった。