今まででいちばんの窓からの景色は、ニュージーランド、オークランド沖のワイヘケ島で暮らした家からの景色。私の英語の先生が長期で留守にするために預かったその家は、海を見下ろす高台にあって、窓の外は一面遮るもののない海だった。その部屋でコーヒーを飲みながら好きな本を読む(ちょうど友人が、私が敬愛してやまないブラジルの音楽家アントニオ・カルロス・ジョビンの伝記を送ってくれていた)時間は至福のひとときであり、その家に住んでいた期間、私はほとんど外出しなかった。
2番目に好きだったのは、6年3ヶ月暮らした、たまプラーザの部屋からの景色。やはり高台にあるその部屋からは、日中は見事な富士山、夜は昔のNHK-FMの名番組「クロスオーバーイレブン」のオープニングの曲と津嘉山正種さんのナレーションが聞こえてきそうな夜景が見えた。
今の部屋からの景色。これがまた素晴らしい。部屋の前はテラスと庭を隔ててすぐもう渓谷なので、私の視界のほとんどは鬱蒼と茂る熱帯植物である。庭の一角にある神棚には、朝夕、家の方がお供え物を上げ、お参りする姿が見える。そして夜になると、何と遠くからガムランの音が聞こえてくるのである。