
友人Rがホームステイしていた村でバロン(日本の獅子舞に似た聖獣で善を象徴する)の祭礼が行われるというので、急遽便乗させてもらうことにした。
その小さな村は、見るからに神様が宿っていそうな御神木や、大蛇が住むという洞穴がある、まるでおとぎ話のような村だった。
会場のお寺には、村中の人たちが正装で詰めかけている。夜の9時頃から夜半まで、バロンの舞は粛々と続く。
後半、悪を象徴するランダが出てきた頃、観衆の中から絶叫が上がった。振り返ると一人の男性がトランス状態に入り、叫び声を上げながら痙攣している。その体を4〜5人の男性が押さえている。
その後、このトランス状態は3〜4人の男性に伝播し、あちこちで同じ光景が繰り広げられ、そのうち一人の男性はお寺の階段をだーっと駆け上がって行った。
観光向けではない、本当の聖なる儀礼の姿を、初めて目の当たりにした夜だった。