2009年7月12日日曜日

インドネシア文学


インドネシア人作家によりインドネシア語で書かれた本を2冊立て続けに(邦訳で)読んだ。

1冊目は「バリ島の人買い ニ・ラウィット」アナック・アグン・パンヂ・ディスナ著。バリの王族出身の作者によるインドネシア語での作品で、植民地時代に実際に行われていたという人買いの手先となり、果ては自分も売られてしまう女を縦糸に、当時の風俗が情緒豊かに描き出される。日本で言えば女工哀史のような趣があって、しみじみとする。それほど遠い昔ではない昔のバリ。呪術が支配する世界、日の暮れる頃から集い、カウィ語(古代ジャワ語。教養がある人しか読めない)で書かれたロンタルを吟唱し、まるで漢詩を読むように訳をつけていくという典雅な催し。是非映画で見てみたい気がする。

2冊目は「ジャカルタの黄昏」モフタル・ルビス著。こちらは独立直後のジャカルタを描いたガッツリ社会派の作品だ。官僚の腐敗、インテリたちの空疎な議論、村落から流れてきた社会の底辺を生きる貧困層… 硬派なジャーナリストであった著者によるこの小説作品は、インドネシア国内では長い間出版できずインドネシア語による原作よりも英訳が先に出たという。

インドネシア語というピジンによる文学の可能性やいかに、などという興味もあって読んでみたのだが、両方ともとても良かった。というか、そんな偉そうなことを言う前に、未だに日常会話も覚束ない自分のインドネシア語力をどうにかしろという感じですね!