実は日本へ発つ数日前バリで犬に噛まれた。
ある家の敷地を歩いていたら突然寝ていた犬がむくっと起き上がり、私の方へやってきたかと思ったら、腿をガブッと噛んだのである。じゃれつくような感じだったのでそれほど痛くはなかったが、出血した。
バリ島で狂犬病の死者が70人以上も出ているのは知っていた。その犬は狂犬病ワクチンを受けた印の赤い首輪をしていたので大丈夫だと思ったが、念のためお手伝いのKさんに確認したら、医者に行った方がいいという。内心そんな大げさなと思ったが、医者に行くと、お手伝いさんの助言は正しかった。
医師曰く、犬の狂犬病ワクチンは何度かにわたって接種して完了するものだが、赤い首輪は初回ワクチンを接種した印でしかないのだそうだ。そこで傷口を消毒した後、(人間用)狂犬病ワクチンの暴露後接種をすることになった。
問題はこのワクチン、1ヶ月にわたり規定の間隔で全5回接種して完了する(WHO方式)。1, 2回目はバリで受けられるが、3, 4, 5回目は日本にいる日程になる。バリで受けた輸入ワクチンとまったく同種のものを日本で受けられるところを保険会社と手分けして探したところ、群馬近郊では東京の日比谷と品川にしかないことが判明した。早速日比谷の病院に予約を入れた。こうして規定の日に3回、東京にワクチンを受けに行かなければならなくなったのだった。
というわけで、この日はその第3回目にあたる。東京までの足という問題も新宿までの直通高速バスができたことで一挙に解決。以前は東京に行くのに埼京線の本庄駅まで車かバスで出る必要があって非常に不便だったが、直通高速バスだと家から徒歩圏内にバス停があり、本数も多くて値段も安く、乗ってしまえば座って寝て行ける。大助かりである。
さて日比谷の病院で無事ワクチン第3回目を受けた後、日比谷公園で以前同じ外人ハウスに住んでいたMgちゃんと待ち合わせ。銀座でランチした後、もうすぐ取り壊しになるという歌舞伎座を見納めしたり、築地の魚市場の方まで散歩する。魚を祀っている神社にお参りして、すっかり日本観光気分に浸る。
それから予約してあった銀座アップルストアのGenius Barへ。
実は忘れもしない4月初めのある朝、突然私のMacが立ち上がらなくなった。専門家に見てもらったところ、ハードディスクが死んでいて、もはやデータにアクセスできない状態だという。バックアップを取っておかなかった私が悪いのだが、仕事もプライベートも含め、過去3年半分のデータを失ってしまった。
頭の中が真っ白になったが、コンピュータは私の商売道具、生命線である。急遽ウブドで新機を調達。失われたデータのうち当面仕事に必要なものは何とか手作業で復活させた。
ハードディスクが壊れた旧機もハードディスク交換すれば使える状態だったので、ハードディスク交換して、両親にあげ、せめてEメールとスカイプだけでも覚えてもらえれば連絡が取りやすくなる、と考えた。そこでMacのウェブサイトを調べていたら、「ハードディスク交換プログラム」の文字が目に入る。読んでみると、何とある時期に発売されたMacBookのハードディスクに潜在的な問題があることが分かり、無料でハードディスク交換をしているという。購入時期から言って、どうやら私の旧MacBookもこれに該当するような気がする。そこで相談のためGenius Barの予約を取ったのだった。
まさにドンピシャであった。晴れて私の旧MacBookは無料でハードディスク交換されることになった。
その後Mgちゃんと松屋で別れ、新宿から高速バスで帰路につく。
夜はまた黙々とCDをコンピュータに読み込ませる。