
ペーパードライバーの私がモーターバイクでの遠出の練習を重ね、先日はとうとう東海岸アメッドへ到達するという偉業まで果たした。が、未だ挑戦していないエリアがあった。それは南部である。首都デンパサールや観光地クタ、サヌールなどを擁する南部は、交通量が多くて怖いのである。
そこでまず、南部の中でも最も行きやすそうなサヌールから挑戦してみようと思っていたら、絶好の海日和がやってきたので、決行することにした。
ドライバーのJに道を教わり、「簡単、簡単」の声に励まされて出発する。途中までは田舎道をトコトコ走る感じで快調だった。しかし大きなバイパスに出てから雲行きが怪しくなる。車やバイクが入り乱れて何車線にもなって走る。怖い。しかも一方通行である。帰りは来た道を戻ればいい、という方程式が通用しないではないか。それでも、その交通量の激しいバイパスをウパチャラの行列がゆうゆうと通り過ぎていったりするところは、さすがバリである。そしてどうにかサヌールへ到着した。
サヌールは8年前に1泊したきりで、記憶もおぼろげである。かつてもてはやされて今はさびれた観光地、というイメージが強かったが、静かで物売りもしつこくなく、なかなかどうして悪くない。涼しい並木道を走るのは気持ちいいし、おしゃれなカフェでちらちら揺れる木漏れ日を眺めながらボーッと過ごすのも楽しい。浜辺を散歩して、海風に吹かれ涼んでいたら、フローレスの出身でバリで働いているという、ポルトガル系の名前を持つ青年に話しかけられた。日本へ3度行ったことがあるという。なかなか達者な英語を話す。
帰り道はやはり大迷いに迷ったが、まあ今日中に帰り着ければよしとしようと開き直った。途中の村ではオダランらしきウパチャラに遭遇し、神社からあのきらびやかなガムランの調べが聞こえてきてうっとりする。これだからバリはやめられない。結局30分のところを1時間強で帰り着いたのだから、まあまあ上出来である。
後でJに「サヌールへの道は簡単じゃなかったよ」と言ったら、「それは道を間違ったんだよ」と言われたが、一体どこをどう間違えたのか、未だによく分からないなあ。