
週に1度、ガンサという楽器(ガムランを構成する鉄琴のような楽器)のお稽古を受けている。私はもともと一人で完結できる楽器(つまりピアノとギター)以外には余り触手が動かない質なのだが、ガムランのあの妖しく美しい音色がいったいどうやって創り出されているのか知りたくて受けたワークショップが余りに楽しくて、そんな時間を持ち続けたい余りに、そのときの先生にお稽古を申し込んだのだ。
一台のガンサに先生と向き合って座り、先生の叩いた通りにとにかく真似をして覚える。楽譜のような記録手段もないし、家に楽器もないから、とにかくその2時間に集中して覚えるしかない。歩くのと一緒で、頭で考えるとかえってうまくいかない。とにかく頭を空っぽにして体で覚える。2時間これをやると、ぐったり疲れるけれども、爽快な疲れだ。
これが楽しい時間になるのは、やはり先生のお人柄によるところが大きい。向き合ってひたすら先生の真似をするという学び方に加えて、ガンサという楽器は、二人で交互にひとつのメロディーを奏でるようになっているので、二人羽織とか二人三脚のようなかなり濃密なコミュニケーションになる*。相性の悪い人とだったら、疲れ果ててしまうだろう。先生の温くてチャーミングなお人柄のお陰で、週に一度のこの時間が、今はとても楽しみなものになっている。
* これはどういうことかと言うと、例えばアヴェ・マリアの冒頭のアルペジオ、ドミソドミソドミを演奏するとしましょう(実際にはスケールが違うから演奏できないけど)。奏者1はド・ソ・ミ・ド・を叩き、奏者2は・ミ・ド・ソ・ミを叩く。これがモザイクのように合わさってひとつのメロディーになるのです。分かりますか?