Sさんは8年ほど前、日本にガムランの先生(Aさん)と踊りの先生を招いて、教え子である中学生にガムランとバリ舞踊を仕込むという偉業を成し遂げてしまったのだが、そのとき招いた踊りの先生Gさんはプリアタン村の王族の方で、数ヶ月前から新しい定期公演を主催している。
ご挨拶かたがた、AさんとSさんと一緒に、その定期公演を観に行った。
よくよく聞いてみると、Gさんは、伝説の踊り子イ・グスティ・アユ・ラカ・ラスミさんの娘さんで、昨年8月に行われ、私も観に行った特別公演(往年の踊り子で今は後進の指導に当たっているマエストロたちとその後継者2世代が踊り次ぐという企画。ラスミさんもそのマエストロの一人としてチョンドンを踊った)を監督されたのだった。
ラスミさんは少女の頃、プリアタン村の名門グヌン・サリ楽団の欧米公演に参加して、一躍プリマドンナとなった。私の持っている本には、11歳の彼女がレゴン・ラッサムでガルーダを演じている印象的な写真が載っている。またアメリカ人興行家ジョン・コーストの著作”Dancing Out of Bali”では、チョンドン役のラスミさんが表紙を飾っている。
AさんとSさんの知己により、そのラスミさんご本人の案内で、公演の前後に、会場から道一本隔てたご自宅兼出演者控え室にお招きいただいた。
ラスミさんはすでに70歳を過ぎているけれど、背筋がピンと伸び、装いも立ち居振る舞いも、品があってとても美しい。
「イブ、本当におきれいですね」
と言うと、
「女性はみんな美しいのよ」
とおっしゃる。
Sさんのおかげで、ちょっとうれしいマエストロとの邂逅であった。
Sさんが見たこの日のウブド:
http://www.flickr.com/photos/tm1sart/sets/72157627346258639/