2008年10月5日日曜日

インドネシア語考(その3):なぜインドネシア語は簡単か


そもそもインドネシア語とは何か。

インドネシア語はインドネシアの国語である。そう書くと、当たり前だと言われそうだが、これは、日本語は日本の国語である、と言うのと大分事情が異なる。むしろインドネシア語はインドネシアの公用語である、という方が実情に近い。

インドネシアは数多くの島から成る国であり、数多くの地域語がある。それは方言という性質のものではなく、まったく別の言語なのである。ジャワにはジャワ語があり、バリにはバリ語がある。ジャワの人々は普段はジャワ語で話し、バリの人々は普段はバリ語で話す。学校教育のような公の場や、別の島の人と話すときに、彼らはインドネシア語を使うのである。

ではこの公用語たるインドネシア語はどこから来たのか。これが大変興味深い。ウィキペディア「インドネシア語」によれば、長い間オランダの植民地であったインドネシアで、独立を求める民族主義運動の気運が高まる過程で、「インドネシア語という統一言語」の必要性が叫ばれた。当初は最大人口を誇ったジャワ人の言語、ジャワ語を国語にという動きもあったのだが、そのようなジャワ優先主義を避け、どこの地域語でもない、マラッカ海峡周辺で使用されていた交易語(マレー語の一方言)をインドネシア語という国語にしたと言うのである。

そう、まさにインドネシア語はピジンであったのだ。ならば構造が単純なのも、借用語がやたらに多いのもうなずけるではないか。

(続く)