
過ごしやすい気候、肥沃な土壌、たわわに実る果物、色とりどりの美しい花々、きらびやかな文化、エキゾチックな儀式の数々、チョコレート色の肌をした美しい人々…。地上の楽園のように言われるバリだけれど、それは、私も含めて、先進国のお金を持ってきた人たちにとっての話だ。
子守のKさんに聞いても、賄いのDさんに聞いても、ドライバーのJに聞いても、生活は苦しい。お給料は少ないし、バリは外国人に人気なだけに土地がとても高い。物価も、私たちが安いと思っている店でも、地元の人にしたらとても高い。
“エキゾチック”な儀式の数々だって、当事者でない私たちは、その美しさだけを堪能することができる。でも土地の人たちにしたら、共同体がそれだけ強いということは、それだけ縛りがきついということでもある。生来根無し草の私などは、きっと逃げ出しているだろう。
ヒンドゥー教については何も知らないから言う権利もないけれど、カーストというものの存在は、やっぱり私にはちょっと受け入れがたいものがある。昨日Dさんご家族と参加させてもらった大きな神社のオダランの話を、ドライバーのJにしていて、「あの神社にはJも行くの?」と聞いたら、「あそこは高いカーストの人たちの神社で、Jの神社は別の神社だよ」と言われたのだ。
加えて、インドネシアは官僚の腐敗がすごく、袖の下文化である。こんなにビザの制度が不透明な国も、少なくとも私が知っている限りでは、ない。
今日、モーターバイクの免許証を取りに(インドネシアは国際免許に加盟していない)警察に行き、そのすごさを目の当たりにした。詳しくはここでは書かないが、いやなものをたくさん見て、かなり気分が滅入ってしまった。
それでも、穏やかな微笑みを絶やさず、接してくれる周りの人たちの心の温かさが、ほんとうの楽園かも知れない。