昨日の参議院・行政監視委員会のインターネット中継はアクセスが集中しすぎてパンクしてしまったことはすでに書いた。動画サイトYouTubeやUStreamも含めれば相当な視聴者数に上ったことだろう。こういうものをNHKで放映しないのは公共の利益に反する。これが政治的意図でなくてなんだろうと思っていたら、非常に興味深い話を聞いた。
大阪毎日ラジオ放送(MBS1179)の「たね蒔きジャーナル」では毎晩、京都大学原子炉実験所助教の小出裕先生が東電福島原発の状況を解説してくださっており、それを毎晩YouTubeにアップしてくださる方がいるお陰で、海外にいる私でも聞くことができる。毎晩これを聞くのが日課になっているのだが、今日のたね蒔きジャーナルでは小出先生の解説と参議院・行政監視委員会に出ての感想の他に、参議院・行政監視委員会を取材した記者へのインタビューも行われた。
東京報道・松井記者の話から、委員会の内容以外で紹介されていたことを要約する。
参議院・行政監視委員会は参議院に17ある常任委員会のひとつ。会設置の趣旨は国会立法の立場から行政をチェックすること。普段はそんなに関心が高くない委員会で、傍聴者は3〜4人程度だが、昨日は傍聴席満席で4〜50人が傍聴し、さらにインターネット中継はアクセス殺到でフリーズ。傍聴席には監視される側の原子力安全保安員委員長を筆頭に、経産省の役人15人くらいも来ていて、分厚い資料を持ち、何を言われるか戦々恐々と聞いていた。
参考人の人選にあたった委員会理事に話を聞いたところ、議員の中でも原発関係にしがらみのある人は多いが、今回行政監視委員会の理事や委員長はそういったしがらみのない人たちばかりだったので、呼ぶことができた、相当保安員の方も警戒していたのではないか、と言っていた。
行政監視委員会委員長(自民党所属)に話を聞いたところ、委員会終了後、自民党執行部に呼ばれ「なんであんなのを呼んだんだ。経済産業省側の意見がないのはおかしいじゃないか」と言われたそうだ。委員長はわりあい毅然としていて、「なぜ呼んだかというと、あの方たちは主義が一貫しているからだ。そういう専門家たちを呼んで話を聞きたかった。行政監視委員会でしっかり問題を提起できたのではないか」と話していた。小出先生のような方たちを呼ぶのはいろいろと大変であるようだ。
この貴重な意見が国会に生かされるかと言えば何とも言えない。通常、委員会の参考人というのは政府が通したい法案に合った意見を言う御用学者だ。いちおう公平中立という名目で発言してもらい、ほら先生がこう言ってるじゃないかという裏付け、アリバイにしているに過ぎない。しかし今回の参考人はみな反原発で、政府の意に沿わない。委員会理事(民主党所属)に話を聞いたところ、委員会前に官邸からストップがかかるかも知れないと言われていたそうだ。委員会は参考人の発言をまとめて政府に上げると言っているが、総理が自分の考えと合わない意見を聞き入れるとは考えにくいという印象を受けた。
さらにこれだけの反響を呼んだ参議院・行政監視委員会がマスコミでどう報道されたかを見ると、各メディアの姿勢というものがよく分かる。
まずもっともがんばっている東京新聞
原発推進政策に批判相次ぐ 参院委で小出京大助教ら(2011/5/23/20:03)
小出先生を中心に、4人の参考人の意見をバランスよく簡潔にまとめている。
時事ドットコム
浜岡原発、永久廃止を=参院で地震学者の石橋氏(2011/05/23/21:49)
こちらは石橋克彦先生が中心で、小出先生は名前に触れるのみ。あとの二人はまるで無視。
朝日新聞
孫社長「電田」提唱 休耕田に太陽光パネル 参院委で(2011/5/23/22:38)
こちらは孫さんが中心で、石橋克彦先生に少し触れ、あとの二人はまるで無視。
この扱いのひどさ。石橋克彦先生が「日本のマスコミは反原発の人たちをまるで大和朝廷が隼人や蝦夷の人たちを扱ってきたように、人間ではないかのように無視している。私は怒り心頭に発している」とおっしゃっていたことがよく分かる。
日本のマスメディアはまったく機能していないという思いを新たにした。